低酸素脳症の症状と治療

新生児の低酸素性虚血性脳症

 

妊娠中や出産の際、何らかの原因で新生児の脳に酸素を十分に含んだ血液が回らなかったために、さまざまな脳神経障害を起こす異常を総称して、低酸素性虚血性脳症といいます。

 

その原因は、主に出生前にあることが多く、染色体の異常や薬剤の影響、妊娠中に母親が風疹に感染したことなどが原因となります。その他の原因には分娩時の事故や代謝異常などもあります。

 

低酸素性虚血性脳症の症状としては、出生後まもなく意識障害が表れるようになり、こん睡状態に陥ることもあります。さらに、けいれんや無呼吸発作などが起きるようになり、重症の場合には死亡します。その死亡率は15~20%であり、深刻な後遺症が残る確率も非常に高く、25~45%程度あります。

 

低酸素性虚血性脳症には、特に有効な治療法はないため、呼吸障害が見られるようであったら、まず状態を安定させるために酸素吸入やブドウ糖の投与を行い、酸素と糖分を脳に補給します。

 

また、けいれんが起こった場合には、坑けいれん薬剤などを投与して発作を抑えます。これらの治療によって後遺症を残さずに済むこともありますが、それでも後遺症が残った場合にはリハビリが必要となります。

 

赤ちゃんの脳は出生後に発達するため、出産時に神経細胞がダメージを受けた場合でも、その後の脳の発達によって、ダメージを受けた部分の機能を他の部位によって代償できるようになる可能性が非常に高いのです。そのため、リハビリをすることは非常に大切なことになるのです。