低酸素脳症の症状と治療

低酸素脳症とは

 

人間が消費する酸素量のうち、その20%は脳で消費されています。それだけ脳の機能にとって酸素は大切なものであるために、何らかの原因によって酸素の供給が止まったり、不足してしまったりすると、脳は損傷を受けてしまいます。

 

その原因としては、心筋梗塞、心停止、各種ショック、窒息などが挙げられます。脳が損傷を受けてしまうと、認知能力や感情の表現、運動のコントロールなどに重大な障害をきたすようになります。

 

このような症状がある状態を低酸素脳症といいます。低酸素脳症の多くは、組織への血流量の低下と血液の酸素運搬能力の低下の2つの要因が混在しているため、低酸素性虚血性脳症と呼ばれることもあります。

 

心停止によって、脳に酸素が供給されなくなると、まず数秒以内に意識が消失し、その状態が3~4分以上続くと脳が損傷されてしまいます。この場合には、仮に心機能が回復したとしても脳に障害を生じることになります。この後遺症は蘇生後脳症とも呼ばれています。

 

低酸素脳症の状態にはいくつかの分類法があります。そのひとつがバークロフトの分類というもので、低酸素脳症を4つの状態に分類しています。無酸素性無酸素状態は、体に吸収される酸素が不足している状態であり、貧血性無酸素状態は、酸素を脳に運ぶ血液が不足している状態です。閉塞性低酸素状態は、脳血流や血圧が低下している状態であり、毒物性無酸素状態は、毒物や代謝物によって酸素の利用が妨げられた状態です。